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トップ > アラスカン・マラミュート > アラスカン・マラミュート - 人気ブログ(Blog)検索結果詳細 (2008年10月10日 11時)

「魔王のルーチンワーク」第三十回

「魔王のルーチンワーク」第三十回「えっと、それで君たち」 ―――ヒュンヒュン? 「そう、君たち」最早、当たり前のように髪の毛たちと会話している拓也。遠巻きにそれを見守るカリンとノロちゃん。「・・・普通、ヒュンヒュンという音だけでは、相手の言いたい事なんて分からないよね?」「きしゃー」いえ、きしゃーという奇声だけでも、言いたい事なんて分かりません、普通は。「さっきも聞いたけど、ちゃんと言葉が分かるんだよね?」 ―――ヒュンヒュン! 当たり前だと力強く返事(?)をする髪の毛たち。拓也の言葉が、些か心外であったらしい。「・・・心外というか、規格外な存在だよねー」「きしゃきしゃー」そんな貴方たちは、問題外。「良かった・・・どうやら、話し合いが出来そうだね」ほっと、安堵する拓也。 ―――ヒュンヒュン? 「ああ、うん。僕は出来るだけ話し合いで問題を解決するように心がけているんだ」どこまでも平和主義でありたい拓也。ガチンコバトルは、勇者相手でお腹一杯ですから。・・・鉄拳委員長には、毎日のように殴られていますし。 ―――・・・ヒューン。 拓也の言葉に、考える素振りを見せる髪の毛たち。あるいは、その外見(人間の髪の毛なのだから、異様とは言えない・・・勝手に動いて気持ち悪いけど)とは裏腹に、温和な性格なのかもしれない。だが・・・。 「だけど、前回は結局、殴り合いになった挙句に街に甚大な被害が出たんですよね」 ―――ヒュンヒュンヒュン!? ・・・カリンの要らない一言で、イロイロとぶち壊しになりましたです、はい。「あー・・・いや。あれは何というか・・・言葉が通じなかったので肉体言語で会話したというか・・・」とても苦しい言い逃れをする拓也。というか、全く言い逃れになっていません。尤も、前回の相手である勇者は、通常の会話も通じなかったが、拳を使った肉体言語にすら、聞く耳を持たなかった。流石、勇者様。・・・責任者、出て来い。 ―――・・・ヒューンヒューンヒューン~~? 髪の毛たちは、ひどく疑わしそうにしている。「いやいやいや!騙すつもりはないから!」パタパタと慌てふためく拓也。「旦那様・・・やっぱり悪い人だったんですね」「きしゃー・・・」何処かの二人組まで、疑わしそうに見ています・・・って、おい。「ど、どうしてカリンたちまで疑うかな・・・?」「だって、旦那様。時々怪しいですし・・・隠れて浮気していませんか?」「何故に!?」「だって旦那様。目の周りに殴られた跡とかつけて帰ってくるじゃないですかー」「・・・そこから浮気を疑う貴方が、心の底から不思議です・・・」カリンの中では、シャツについたキスマークと顔についた暴力の跡は、同じ扱いらしい。「きしゃー、きしゃー!」 ―――ヒューンヒューン!?・・・ヒュンヒューン・・・。 「って、ノロちゃんも何か吹き込んでいるし!?」孤立無援。拓也は、本題と全く無関係なところでピンチに陥っていた。・・・合掌。                           <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年6月6日 13時53分

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十九回

「魔王のルーチン・ワーク」第二十九回「あの~~・・・大丈夫ですか?」拓也は、ぐったりと横たわっている巫女におそるおそる声をかけてみた。「・・・・・・・・・・・・・・・・・」返事はない。ただの屍のようだ。「・・・どうか安らかに」「・・・き~しゃ~~」「いや、まだ生きているから・・・多分」カリンとノロちゃんに、ツッコミを入れる拓也。少し自信が無さげではあったが。 ―――ヒューンヒューン? 「大丈夫、死んでいない死んでいない・・・おや?」ごく自然に、髪の毛の問い掛け(らしき何か)に答えてから違和感を覚える拓也。「・・・きしゃ~~?」「旦那様・・・ソレと会話出来るのですか・・・?」ちょっと身を引きながら、そう尋ねる呪いの人形とその友人の娘。少なくとも、貴方達にだけはそんな反応はされたく無い。「え~っと・・・もしかして人間の言葉が解かるのかな?」 ―――ヒュン。 「・・・そうか」髪に宿る霊妙なる力が、無駄に発揮されていた。というか、やっぱり寄生生物?「・・・きしゃー」「うん、旦那様。ノロちゃんの言う通り友達は選んだ方が良いですよ?」繰り返すようだが、少なくとも貴方達にだけはそんな事は言われたく無い。 ―――ヒュンヒューン? 「あ、いや。こっちの話だから気にしないで」 ―――ヒュン。 髪の毛は、どうやら素直な性格なようだ。「・・・人間じゃない癖に、妙に素直な性格なんですね」「・・・きしゃー」重ねて言うが、少なくとも貴方達にだけはそんな事は(以下略) ―――ヒュンヒューンヒュン? 「病院に連れて行くのは、止めた方が良いと思う」医者に治療を受ける前に、解剖されるだろう。特に髪の毛の部分。というか、当たり前のように言葉を理解している拓也が、ちょっと異様だった。「・・・旦那様。旦那様がとても遠く感じます・・・」「・・・きしゃー・・・」いえ、とても近いです、貴方達に。                        〈つづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月18日 21時2分

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「魔王のルーチンワーク」第二十八話

「魔王のルーチンワーク」 第二十八話 「重ね重ね、申し訳ありません」土下座して平謝りする拓也。「いえ・・・先に攻撃したのは、こちらですから・・・」頭に氷嚢を当てたまま、巫女は弱々しくそう答えた。「あれ?旦那様は、最初から本体を攻撃するつもりじゃなかったんですか?」「きーしゃー?」「全くそのつもりじゃなかったです、はい」ただ単に、髪の毛の弱点=本体だっただけの話だったりする。「・・・成る程。別に髪の毛の根元を攻撃して、根本的な解決を狙った訳じゃなかったんですね」「きしゃー」誰が上手いことを言えと?「・・・出来れば、もう少し平和的な解決策をお願いします」「いえ、最初からそのつもりです」巫女の言葉に、慌ててそう答える拓也。危うく髪の毛たちごと巫女を葬りかけた身としては、あまり説得力が無かったが。「でも、この間の勇者様の時も、結局殴りあいで解決したんですよね?」「きしゃきしゃー」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」「いえいえ、本当に平和的に解決したいです、僕は」ジト目で見ている巫女に、更に慌てながらそう答える拓也。 ―――ヒューンヒューン。 髪の毛たちも不穏な空気を察したのか、旋回しながら攻撃態勢に移った模様。「いや、もう戦わないから!?」二回戦が始まりそうな気配に、拓也は動揺を隠しきれない。「・・・でも、旦那様って魔王だから、もしかしたらそう言って油断させたところで・・・?」「きしゃー!?」 ―――ヒュンヒュンヒュン! 髪の毛たちの旋廻速度が増した。「いや、本当にそんなつもりはないから!?」信用度が大暴落中の拓也。その言葉に耳を傾ける者は、この場にはいなかった。「・・・旦那様って怖い人だったんですね・・・」「・・・きしゃ~~・・・」結構、薄情ですね貴方達。 ―――キュンキュンキュンキュン!! あまりの高速に、風を切る音さえも違っている。かつてない強敵の出現に、髪の毛たちはそれまで発揮しきれないでいた潜在能力を、今こそ解放し始めていた。「いや、そんなものを解放しなくて良いから!」もう遅いです、イロイロと。 ―――キューーーーーーーーンッ!! 最早、あまりの速度の一つの音に聞こえ出した髪の毛たちの旋回音。 ・・・フワッ。 「浮いた?・・・まさか、飛ぶのか!?」「え?え?え?髪の毛って空を飛ぶのですか?」「き、きしゃー??」今まさに、髪の毛が世界の常識を突き抜けようとしていた。「く、首がーーーーー!?」・・・その前に、本体の首が抜けようとしていたが。            <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月17日 21時5分

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「魔王のルーチンワーク」第二十七話

「魔王のルーチンワーク」第二十七話拓也は巫女に尋ねてみた。「すみません、その髪の毛に触れても良いですか?」「え、えー!?旦那様、ソレに触るんですかー!?」「きしゃーー!?」その言葉に戦慄するカリンとノロちゃん。気持ちは分かるが、本人を目の前にして言うのはかなり問題のある発言だった。「ソレ・・・呼ばわりですか・・・」 ニッコリ。 巫女が浮かべたのは、爽やかな笑顔だった。コメカミに十字路が浮かんでいたけど。「あうあうあうあうあう~、ごめんなさ~~い」「きしゃ~~~~~~~」涙目で謝る二人。まさしく口は災いの元だった。「連れが失礼な事を言って申し訳ありません」そう言って拓也は頭を下げた。「いえいえ、怒っていません、ええ、怒っていませんとも」 ニッコリ。 せんせー、コメカミの十字路が消えていませーん。「・・・ええ・・・怒ってなどいません・・・決して怒ってなどいません・・・」 ゴゴゴゴゴゴゴッ。 笑顔の後ろに聞こえてくる効果音が不穏だった。「えっと・・・それで、その髪の毛に触っても良いですか?」ちょっと強引に話を戻す拓也。魔王の基本的な能力である危険回避能力が働いた結果だった・・・って、危険回避が基本の魔王って一体?「あ、はい。私は構いませんが・・・」「・・・私“は”?」再び働く拓也の危険回避能力。それが拓也を救った。 ―――ヒュン。 「!?」軽い音とは裏腹に、それはレーザーのように鋭かった。咄嗟に避けた拓也の頬から流れる、一筋の血。「・・・今のは」「え?あれ?旦那様?」「きしゃー?」一瞬の出来事ゆえに、カリンとノロちゃんには何が起こったのか理解出来ないでいた。そんな二人に返事する余裕すらなく、鋭い眼差しでソレを睨み付ける拓也。「・・・勝手に動いて、攻撃までするんですか」「・・・はい」沈痛な表情で、巫女は拓也にそう答えた。風も無いのに、ゆらゆらと蠢く二本の髪の毛。 ―――ヒュン。 「ふっ!」鋭い呼気とともにその攻撃を避ける拓也。 ―――ヒュンヒュン。 「くっ!?」その拓也の行動を予想していたように、続けて繰出される二撃目。物理法則を無視して、拓也の死角から襲い掛かってくる。「ちっ!」魔王である拓也であっても、回避するだけで精一杯の連撃。再び、ゆらゆらと風もないのに揺れる髪の毛。「緩急自在の動きか・・・」相手を幻惑するその髪の毛の動き。しかし・・・。「・・・それでも弱点は、ある」一見、自在に見えるその髪の毛の動きにも動かない一点があると拓也は気がついていた。「そこだ!」それまで防御一方だった拓也が、初めて攻勢に出た。 ドゴォォォォンッーーー!! 拓也の手刀が、髪の毛たちの反応を越える速さでその弱点を直撃した。彼が見抜いた弱点・・・自在に動く髪の毛とは裏腹に静止し続けていた場所。それは・・・。「・・・・・・・・・・」「旦那様―?この人、動かなくなりましたよ?」「きしゃー?」静止し続けていた場所、つまり髪の毛の根元だった。「・・・失敗したかも」いや、全く。                              <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月13日 20時35分

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十六話

「魔王のルーチン・ワーク」第二十六話神社の奥にある数ある和室の中の一つ。そこには、この神社の巫女と、巫女に呼ばれた客人たちの姿があった。その客人の一人―――拓也は、案内された座敷の上で途方に暮れている様子であった。「え~と・・・つまり、その髪はアホ毛だという話ですか?」「違います」巫女は、一言で切って捨てた。それを見ながら、カリンは拓也に話しかける。「・・・旦那様。やっぱり寝癖が正解だったんじゃないですか?」「きしゃ~?」「それも違いますっ」巫女は、先程より強い語気で否定した。拓也とカリンは顔を見合わせ、「じゃあ、ゴキ・・・」「その名は!」 ズドンッ! 「・・・決して口にしないで下さい」「了解です」片膝を立てて踏み込んだ巫女の足は、畳に深くめり込んでいた。この火山巫女を噴火させることは、身の破滅を意味する。「・・・怖いよ~、怖いよ~・・・・」「・・・きしゃ~、きしゃ~・・・」拓也の影で震えているカリンとノロちゃん。お子様には刺激が強すぎる巫女さんであった。「・・・つまり、僕は何の為に呼ばれたんでしょうか?」火山巫女の無駄に溢れている迫力を気にした様子も無く、本題に戻る拓也。辛い現実から目を逸らしたとも言う。「貴方をお呼びしたのは、他でもありません・・・」沈痛な表情で答える火山巫女。「私を、この呪われた宿命から解放して欲しいのです」「呪われた宿命・・・ですか?」意味が良く分からず、巫女の言葉をそのまま聞き返す拓也。「呪われた宿命・・・生まれる前から寝癖がついていたのですか?」カリンはぽつんと呟いた。「きしゃー」その言葉に同意するノロちゃん。「そんなもの、ついていません!」生まれる前から寝癖がついている宿命だった火山巫女は、力の限り絶叫した。「・・・シャンプーを変えれば、跳ね毛は直ると聞きました」拓也は、なんとか話をまとめようと努力してみる。「・・・貴方は、真面目に話を聞く気はありますか?」無論、まとまる筈が無いが。「努力は、しています・・・」成果はまるで現れていないけど。「私は、この忌々しい髪の毛をなんとかして欲しいのです」そう吐き捨てるように言う巫女。「はあ・・・切ったり抜いたりでは駄目なんですか?」拓也は、至極真っ当な意見を述べてみる。「・・・今まで試したことがないと思いますか?」苦々しい様子の巫女。「いえ・・・やっぱり、駄目だったんですか?」卓也の言葉に、巫女はため息と共に返事を押し出した。「駄目でした・・・翌日には元通りに生えてきていました・・・」それ、髪の毛じゃないと思います。多分、髪の毛に擬態した寄生生物だと思います。「それ以来、この髪たちも私を警戒するようになりましたし・・・」「・・・独自の意思を持っているんですか、その髪の毛って」ますます謎が深まった。「怖い、怖いよ~ノロちゃん・・・」「き、きしゃ~~・・・」ついでに人々の溝も深まっていた。                          〈つづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月12日 22時57分

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十五話

第二部開始「魔王のルーチン・ワーク」第二十五話―――その髪には霊妙なる力が宿っている。 その地域でまことしやかに囁かれている話である。科学が多くの奇跡や神秘を駆逐した現代においても、消えゆく同類たちとは一線を画するように、人々の心に残り続けている。 ―――その髪には神の声を聞く力が宿っている。 その地域に昔からある神社。その神社を守り続ける家系の女性には、伝説がある。神の声を聞く力があると。 ―――ただし、その力を持つのは全ての髪ではなく、選ばれし髪のみ。 巫女の持つ艶やかな黒髪の中で、その神威を持つ髪のみが異彩を放っていた。故に、人々は巫女の髪を見る度に畏怖に震える。 ざっ、ざっ、ざっ。 黙々と神社の境内を箒掛けしている巫女。そして、それを遠巻きに見ている参拝者たち。その中にいた、家族連れの子供の一人が、巫女を指差して言った。「お母さんお母さん、あの巫女さんの髪の毛跳ねているよー」「しーーーーっ!指差すんじゃありません!」 ピクッ。 「・・・・・・・・・・・」巫女の動きが、止まった。それに気づかぬまま、話を続ける人々。最初の子供の弟らしき別な子供が言った。「あれって寝癖なのかなー?」 ピクッ! その言葉に巫女の体が、一瞬大きく震える。気のせいか、こみかめに十字路が浮かんでいるようにも見えた。更に別な兄妹が、それに答える。「寝癖じゃないよー。あれってアホ毛って言うんだよー」 ピクピクッ! 巫女は無言のまま、握った拳を震わせている。その言葉に最初の子供が納得した声を上げる。「へー、アホ毛って言うんだ。あの巫女さん、アホ毛が二本生えてるー」 ピクピクピクッ!! 震える、震えている巫女の体。何と言うか・・・噴火五秒前?「でも、アホ毛というよりも、虫の触角みたいだよねー」 ピクピクピクピクッ!!! あー、ただいまこの地域に避難警報が発令されました。皆さん、落ち着いて避難してくださーい。落ち着いて避難してくださーい。「ほら、ゴキ・・・」「その名は言わないでくださいっ!」 ドゴォーーーーーーーーーーーーーーン!! ああ、火山が!?火山がーー!!皆さん、さようなら、さようなら~~~・・・・・・。「・・・はあはあはあはあ・・・」突然噴火した火山巫女に、逃げ惑う人々。やがて、そこには火山巫女だけが残った。「~~~~~っ!こ、この髪が・・・この髪が、憎いーーーー!!」何時の時代でも、常人には無い力と髪を持つ者の苦悩は深かった・・・。                     〈つづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月11日 19時12分

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「魔王のルーチン・ワーク」第24話

「魔王のルーチン・ワーク」第24話家に辿り着いたところで、カリンは拓也に尋ねてきた。「旦那様、聞いても良いですか?」「え?何?」「旦那様って魔王、なんですよね?」割と今更なことを尋ねてくるカリン。「ああ、そうだよ」「魔王の仕事って、いつもこんな感じなんですか?」「ふむ・・・」ちょっと考えながら、拓也は答えた。「一口に魔王と言っても、千差万別だからね」「そうなんですか?」拓也の言葉に、カリンは意外そうな顔をした。「うん、うちの場合は個人経営だからね。大手とは扱う仕事も違うし」大手だと自分達のように誰かに召喚されて依頼をこなすのでなく、自ら軍勢を率いて他の世界に侵略戦争とかを仕掛けたりすると、拓也も噂で聞いたことがあった。「旦那様も、そんな大手になりたいのですか?」「僕が?大手に?」「はい」カリンの質問にしばし考え込む拓也。「あー・・・僕はそういうのは、遠慮するよ」「そうなんですか?」「侵略戦争とかは、ちょっとね・・・他人に迷惑がかかるし」実際には迷惑どころの話ではないのだが。「でも、今回みたいに旦那様お一人でお仕事をするのは、とても大変なのではないですか?」「大変といえば大変だけどね」たとえば勇者の相手とか。あるいは勇者の相手とか。もしくは勇者の相手とか。「でも、僕にとっての魔王の仕事ってこういうものだから」「こういうもの・・・つまり勇者と、どつき合いをするということですか?」「ピンポイントな仕事ですね・・・」ちょっぴり拓也の笑顔が引きつっていた。「別に勇者の相手をするのが、魔王の仕事という訳ではないよ」「そうなのですか?」「うん、そうなのです」でも、実際には結構な確率でお相手しておりますが。いつもいつも、お世話になっております。「では、旦那様にとっての魔王のお仕事って何ですか?」「僕にとっての魔王の仕事というのはね・・・」カリンから視線を逸らしながら、拓也は言葉を続ける。「皆を助けるのが神様の仕事だとしたら、魔王の仕事はその中でも特に困っている人を助ける事だよ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・旦那様、恥かしくなるくらいならば、最初から言わない方が良いですよ?」「きしゃーーー・・・・」「・・・はい、ごめんなさい」 こうして、魔王の本日の通常業務は終了した。                     〈第二部へつづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月10日 20時42分

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「魔王のルーチンワーク」第二十三話

「魔王のルーチンワーク」第二十三話「敵ながら、良い勝負でした・・・」満足げな顔でそう言う勇者。いいから、口元の食べ滓を取れ。「どうやら貴方達は、邪悪な存在ではないようですね!」Q,邪悪でないと判断した根拠は何?A,ご飯を食べさせてくれたから。「私も勇者として、貴方達が邪悪ではないと保証しましょう!」勇者の保証。果たして、飼い猫の“テーブルの上に手なんか出していないよ。なんかオカズが勝手に落ちてきただけ”という言い訳と、どちらが信頼出来るだろうか。「・・・はあ、ありがとうございます」でも、突っ込まない大人な拓也。「ふぁ~~~・・・はれ?終わったんですか?旦那様・・・」「・・・きしゃ~~・・・?」寝ぼけ眼のカリンとノロちゃん・・・今まで、寝ていたんですか。「はいはい、二人とも家に帰るよ」苦笑しながら拓也はそう言った。「では、私も家に帰ります!」「・・・ここから近いんですか?」拓也は勇者にそう尋ねる。差しさわりの無い世間話に見えて、実際にはこの国の人にしてみれば切実な問題であった。自宅の近くに怪獣が住んでいます。「はい!走って一週間くらいの場所にあります!」しかし、基準が独特すぎて具体的な距離は不明だった。勇者って一日に何Km走りますか?「・・・気をつけて」拓也は、理解することを諦めた。どっちにしろ、近くても遠くても来る時には来るものだから。「それでは!」 どごぉぉぉぉぉぉぉん!どどどどどどどどどど!! 「・・・最後まで壁を壊していくんだ」むしろ、まだ壊されるような壁が残っていたことのほうが驚きだった。「えっと・・・取りあえず、勇者を追い払いました」振り返って、野獣姫にそう報告する拓也。「・・・あーそー・・・ご苦労様」ぐったりとした様子で、野獣姫はそう答えた。穴だらけになった城。町外れにも、勇者が着弾した跡が無数に残っているだろう。しかも、何が悲しくて被害の元凶である勇者に飯まで食べさせねばならなかったのか。(註 勇者が満足するまで貪り食った食事は、お城の方々が用意しました)ただ失うばかりで得るものの無かった戦い・・・。この戦いに、意味はあったのだろうか?「あ、そうそう」ぽんと手を打つ拓也。「今日の分は、後で追加料金を頂きますね」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷちん。 その時、野獣姫の中で大切な何かが切れた。「グワァルルルルルルルルル~~~・・・・!!」「おお、姫様の怒りが有頂天に達した!!」「具体的にはウヒョ~~!!」「・・・いや、むしろ分からないぞ、ソレ」「何時に無く本気で姫様が怒っていらっしゃる!」「古文書にあった通りだ!人の傲慢さが、姫様の怒りを呼んだのだ!!」「・・・おや?そんな大層な話でしたか?」いつもの恒例行事を始めた野獣姫と家臣達を残して、拓也達はこの世界を後にした。「お疲れ様でしたー」「でしたー」「きしゃー」 「グワァルルルルルルルルル~~~・・・・!!」                <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月9日 19時3分

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「魔王のルーチンワーク」第二十二話

「魔王のルーチンワーク」第二十二話 日が沈み、戦いの荒野にもやがて終わりが近づいてくる。戦場に佇む戦士達は、一体何を思うのか・・・。「・・・あー、今日の夕飯、何にしようかな」延々と続く無間地獄に、すっかり現実逃避してしまっている拓也。一方、勇者は・・・「ふ、ふふふ・・・貴方もなかなかやりますね」無駄に戦意に満ちていた。「う~ん、むにゃむにゃ・・・旦那様、頑張って~~・・・」「き~しゃ~~・・・」カリンとノロちゃんも夢の世界から、拓也を応援している。「何を食べていれば、こんなに元気なのかしらね、勇者って・・・」げっそりとしている野獣姫。「まさしくまさしく。きっと明日も良い天気でしょうな」「目を開けたまま、寝るな!!」そんな周囲の声を気にすることなく、勇者は戦闘続行しようとしていた。しかし・・・。 ぐ~~~~~。 その場に、勇者の腹の虫の音が響き渡った。「・・・私の人生も、これまでのようです」いきなり勇者の人生が終わるようだった。「あー・・・もしもし?」「私が死んだら、あの青い海に流してください・・・」そして何処からか流れてくるエンディングテーマ。「最後に・・・おなか一杯食べたかった・・・」多分、おなか一杯食べたら生き返るような気がするが。「・・・ガクッ」あ、死んだ。自分でガクッと言いながら。 ぐ~~~~~。 「・・・おなか、空いたよ~~~・・・」あ、生き返った。「あ~~う~~~~~~~・・・・・」「えっと、ですね」涙を流しながら空腹を訴える勇者に、拓也は声をかけた。「今日はもう終わりにして、ご飯にしませんか?」その言葉に、はっと身構える勇者。「師匠より聞いた事があります!魔王は常に勇者を堕落させるべく、甘い誘惑を仕掛けてくると!その手には乗りません!ご飯にしましょう!!」「・・・分かりました、ご飯にしましょう」あえて、勇者に突っ込まない拓也。世の中には、気にしないほうが幸せな事もあると知っていたから。かくして、魔王と勇者の戦いに終止符が打たれたのであった・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ガツガツガツガツガツガツガツガツ!! 「ふぎふぁ、ほほぐひでひょうぶでふ!(註 次は、大食いで勝負です!)」「・・・いいから、静かに食べてください」魔王と勇者の第二次戦闘、勃発・・・しません。             <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月8日 19時45分

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「魔王のルーチンワーク」第二十一話

「魔王のルーチンワーク」第二十一話どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! それは、果てしなく続いた。魔王に殴り飛ばされる勇者。そのままの勢いで、町外れに着弾する勇者。それでも無駄に元気に城まで駆け戻り、壁を壊して再び登場する勇者。延々と繰り返される行為。ただ、壁の穴だけ増えていった。「どうして、いちいち壊すのよ!?」いや、全く。 どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 不滅の肉体と不屈の精神を持つ勇者。勇者との戦いとは、自分自身との戦い。それはつまり・・・。「ふふふ、まだまだです!」「・・・まだ続けるんですか・・・」先に根を上げたほうが負けの我慢比べ。 どごっ。・ひゅるるるるる~~~・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 「なかなかやりますね!?でも、ここからはそうはいきませんよ!」「・・・はあ」 どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 「おっと、申し訳ございません、姫様。そろそろお昼寝の時間ですので帰らせていただきます」「おお、そう言えば私もそろそろ愛犬とサンバを踊る時間でございました」「ああ、私も持病のシャクの時間でしたな」口々にそう言って帰ろうとする家臣達。「あ~ん~た~らは~~・・・」こちらでも戦いというか制裁が始まった。 どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 「ふ、どうやら私も真の力を解放する日が来たようですね!」「・・・はいはい」 どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 「生まれ変わった私の新しい力を、お見せしましょう!」「・・・さいですか」 どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 「私の中に秘められた可能性が、今こそ!」「・・・いい加減、やめませんか?」 どごっ。ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 「戦いは、これからです!」「いや、それって打ち切りパターンだから」戦いは、本当に果てしなく続いた。                  <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月7日 7時16分

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十話

「魔王のルーチン・ワーク」第二十話「あれれ?では、誰が邪悪な姫なんですか?」「邪悪かどうかはさておき、そちらのドレスを着た女性がこの国の姫様ですよ」「えーーー!?・・・呼び出された魔王かと思っていました・・・」「誰が魔王よ!?」勇者の言葉に激昂する野獣姫。「うむ。姫様を魔王呼ばわりするなど、無礼千万!」「左様!姫様を、世間知らずの娘を誑かせているようなその辺の魔王と一緒にしないでいただきたい!」「如何にも!嫁さんをもらってほのぼのしている魔王と違って、姫様は恋人の一人も出来ないまま、寂しい人生を送っておられますぞ!?」「・・・お姫様、可哀想・・・」「・・・きしゃーーーー・・・」「まとめて、やかましいわ!」絶叫する野獣姫。四方八方敵だらけであった。「あれれれ?では、魔王は誰ですか?」「あっと・・・僕、です。僕がこの世界に呼ばれた魔王です」世間知らずの娘を誑かしているようなその辺の魔王は、おずおずと自己紹介をした。「えーーーーーーーー!?・・・てっきり・・・」「てっきり、なんですか?」衝撃を受けている様子の勇者に、拓也は尋ねてみた。「てっきり、たまたまこの城の中に通りすがっただけの一般市民Aかと思っていました・・・」思いっきり、ただの脇役扱いだったようだ。ちなみに、仮にもお城の中を通りすがる一般市民って、一体何者なのだろうか?「・・・まあ、何でも良いですけど」何処か遠くを見ている目でそう言う拓也。いい加減、ひどい言われ方にも慣れてきた様子であった。大剣を拓也に向けて構えなおすと、勇者は言った。「では、気を取り直して、勝負です!通りすがりの一般魔王A!」微妙にまだ混じっていた。「えっと、ですね。僕には貴方と戦う理由は無いです」この場においても、説得を試みる拓也。「そうなんですか?」「はい。元々、僕が呼ばれたのは貴方がここで暴れないようにする為ですから、貴方が大人しくしていてくれれば、僕も元の世界に戻れます」「失礼な!私は意味も無く暴れたりしません!」既に壁に穴が開いていますが?だが、あえて突っ込まずに、話をまとめようとする拓也。「貴方が暴れないのならば、僕達が戦う理由はないですね」「はい、そうですね!では、勝負です!」勇者の発言の前半と後半が、全く繋がっていなかった。「・・・・えっと?どうして戦うんですか?」当然の問いを発する拓也。「師匠に言われました!神にあったら神を斬り!悪魔にあったら悪魔を斬れ、と!」それはただの通り魔です。「・・・・・結局、こうなるんだ・・・・・・」諦めの境地に達する拓也。「行きます!」その声とともに、一陣の死の風と化す勇者。その速さは、常人の認識の外にある超高速。野獣姫たちには、その影さえも見ることは出来なかった。 どごっ。 そして、人体が発してはいけない音がする・・・勇者の体から。拓也の拳は、超高速さえ超える神速の速さで勇者の体にめり込んでいた。カウンターの一撃を受けた勇者は、自身が空けた穴から吹き飛んでいく。 ひゅるるるるる~~~・・・・・・・・ちゅどーーーーん。 町外れに勇者が“着弾”する音が辺りに響いた。「・・・え?あれ?今、何があったの?」気がついたときには全てが終わっていたが故に、状況の変化についていけないでいる野獣姫。他の人々もまた同様であった。「え、嘘?あっさり決着がついちゃったの?」呆然と野獣姫はそう呟く。傍目からでは、魔王の圧倒的勝利に見えた。しかし・・・。「・・・まさか。勇者というのは、そんな生易しいイキモノじゃないです」苦々しそうにそう拓也は答える。 ・・・どどどどどどどどどど、どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! さっきとは別な穴を開けながら、駆け戻って来る勇者。「では、リターンマッチです!」勇者は、一切のダメージを感じさせず胸を張ってそう宣言した。・・・勇者と魔王の長い戦いが、今始まる。                        〈つづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月6日 8時6分

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「魔王のルーチン・ワーク」第十九話

「魔王のルーチン・ワーク」第十九話それは、一言で言えばゴツイ鎧で完全武装した少女であった。通常ならば着ただけで動けなくなりそうな重装備でありながら、重さを全く感じていないような軽やかな動き。しかもその上に、身の丈ほどもありそうな大剣を片手で振り回している。ここまで走り続けてきただろうに、息一つ切らした様子も無い。規格外な体力と腕力であるが、勇者の真の脅威はそんな所に無いと拓也は知っている。「・・・ところで、どうしてわざわざ壁を壊して入って来たんですか?」何となく答えを予想しながら、拓也はそう尋ねてみた。「師匠が言っていました!人生で壁にぶつかったら、乗り越えていけ、と!」乗り越えていません、壊しています。ついでに言えば、そう意味で師匠も言ったわけでも無いと思います。「・・・流石、勇者。自分の師匠の言葉さえ、ちゃんと聞いていないか・・・」すごい勢いでダメな感じだった。「え?え?えー?何が、どうなっているのですか??」「きしゃー?きしゃーー??」唐突な展開についていけないでいるカリンとノロちゃん。たとえて言うならば、クリスマスの夜に子供達がサンタの訪れを待っていたら、代わりに来たのはすし詰め片手に酔っ払ってご機嫌になっていやがる親父だった、というところだろうか。拓也は、二人の甘い期待がガラガラと崩れていく音が聞こえた気がした。「・・・教育上、良くないな・・・」そんな心配をする拓也・・・いや、カリンは拓也と同い年ですけどね。「という訳で、サックリいきますね!」それまでの話の流れを完全に無視して、そう宣言する勇者。「むう!?そのような理由ならば、我らには何も言えませんな・・・」「・・・如何にも。それ程の理由ならば、姫様をお斬りになるのも、已む無しですな・・・」「もはや、我らには姫様の最後を見守るしか!?」「って、何も説明していないでしょうがーーーー!?」拓也は家臣達の最後を見守った。「それで、誰を、何の為に、サックリするんですか?貴方を呼んでいた巫女は、もう貴方を呼んではいないですよ?」拓也は勇者にそう尋ねた。「はい、そのお話は聞きました!ご結婚おめでとうございます!それとは、別な話でここに来ました!」いちいち大声を出さないと喋れないのかな?と思いながら、拓也は質問を続けた。「別な話というと?」「はい!実は天のお告げがありました!この国に居る姫が、魔王を召喚したのだと!」「・・・あー・・・」「・・・・・呼びましたな」「間違いなく呼びましたな」「考え無しに呼びましたな」そう口々に証言する家臣達。「あんた達だって、協力していたじゃない!?」主君への裏切りというか、ある意味、期待を裏切らないというか、そんな感じの家臣達にブチ切れる野獣姫。本気で部下に恵まれていなかった。「という訳で!野心に満ちた姫と、邪悪な魔王を退治しに来ました!」そう言って、大剣をカリンに向ける勇者。「さあ、覚悟してください!邪悪な姫!」「・・・ふぇ?」「・・・きしゃー?」「貴方が邪悪な姫だと一目で分かりました!なんだかダメダメなモノを呼び出しそうに見えますし!」ある意味、とても的確な分析であった。「この娘・・・カリンは、最初に貴方を呼んでいた巫女ですよ」「・・・あれ?」カリンは、本当にダメダメなモノを呼び出してしまったらしい・・・。                  〈つづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月5日 7時51分

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「魔王のルーチン・ワーク」第十八話

「魔王のルーチン・ワーク」第十八話くいくい。「ん?」「・・・旦那様。どうして皆、勇者様が来るのをそんなに慌てているの?」後ろから拓也の服を引っ張りながら、カリンはそう尋ねてくる。「あ~~・・・っと」拓也はちょっと困ってしまう。カリンはまだ勇者の実情を知らず、正義の味方だと純真に信じている。たとえば、サンタクロースっているんだよね?と信じている子供に、言えるだろうか。よく見ろよ、そのプレゼントには値札がついたままだろ、と。「お話すれば、勇者様もちゃんと分かってくれますよ」「きしゃーーー」無邪気にそう言う子供二人。「え~~~~~~と・・・」困り続けるお父さん。「何をなさっておられますか、色ボケ魔王殿。勇者はすぐそこまで迫っておられますぞ」「左様、姫様のお命も風前の灯なのですぞ?」「それは違うぞ、おのおの方。姫様はいつまでも我らの思い出の中で生き続けるのです」「おお、姫様との美しき思い出が・・・」「見なさい、おのおの方。あの青空の向こう側に浮かんでいる、姫様の笑顔を」「姫様よ・・・永遠なれ」「まだ、生きとるわーーーーーー!?」取りあえず、家臣達のほうが先に思い出になった。「今、勇者はどの辺りに居るんですか?」「色情魔王殿・・・今まで楽しゅうございました・・・(キラーン)」「いや、お星様になって遊んでいないで、真面目に答えてください」とても良い笑顔を浮かべている家臣達に、突っ込みを入れる拓也。「がるるるる・・・目撃情報からすると、本当にすぐそこまで迫っているみたいなのよ」「それは・・・困りましたね」最悪、勇者とのガチンコバトルになった場合、それが街中で起これば多大な被害が及ぶだろう。「・・・出来れば、話し合いで解決すると良いんだけど」以前説明したように、勇者は他人の話を聞かない。清々しいまでに聞かない。それでも、一口に勇者といっても千差万別なので他人の話を聞かない程度さも、個々に違うのである。・・・ちなみに例の鉄拳委員長は、聞き分けがとても良いまだマシな部類の勇者だったりする「どうしたんですか、旦那様?顔色が悪いですよ」「きしゃー?」「いや、ちょっと絶望的だな~と再確認しただけ・・・」拓也が暗い未来予想をしていた時、その音が響いてきた。 ・・・どどどどどどどど・・・・。 「あれ?この音は何だろう?」「きしゃー??」「・・・土煙を上げて爆走する人影、か・・・」 どどどどどどどどど・・・。 「なんだか、どんどん大きくなってきますよ?」「きしゃー」「二人とも、僕の後ろに隠れて」 どどどどどどどどどどどどどどっ!! 「だ、旦那様!?」「きしゃーーー!?」 どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!! そして壁をぶち抜いて、それは現れた。「天に導かれて、ただいま参上です!」勇者が、ついに来てしまった。                         〈つづく〉...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月4日 7時43分

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「魔王のルーチンワーク」第十七話

「魔王のルーチンワーク」第十七話 「大変ですぞ、結婚詐欺師殿!」辿り着くなり、そう言って迫ってくる家臣達。「・・・何があったんですか?あと、何が言いたいんですか?」何時の間にか、拓也の肩書きが変わりすぎていた。「え、え、えーーー!?け、結婚・・・詐欺?」「き、きしゃーーー・・・?」後ろのほうで、何やらダメージを受けている者が二名。拓也は、何があるか分からないのでこの二人を連れてきたくなかったのだが、『夫の手助けをするのも、妻の務めです!』『きしゃ、きしゃーーー!』と言われ、押し切られてしまったのであった・・・拓也、弱っ。「実はですな、ジゴロ殿」「・・・言っておきますが、話が進まないからこれ以上は突っ込まないですからね」「・・・ちぃ」本当に何がしたいんだ、あんたら。「ジ、ジゴロ~~~!?」「きしゃ~~~~・・・・」いちいち真に受けないように、そこの二人。「実はですな、勇者がここに向かっているという報告があったのです」「・・・勇者が?」カリンが勇者を呼ぶのを止めた以上、勇者がここに向かうことは無い・・・筈だ。絶対に無いと言い切れないのが、勇者が勇者たる所以であるが。「カリン、勇者には伝えたんだよね?」「はい。お嫁に行って幸せになるのでもう良いですと、ちゃんと伝えました」「・・・まあ、お断りはしたんだね」取りあえず断ったという事実だけ確認する拓也。それ以外の部分について追求するには、ちょっと覚悟が必要だったから。「では、何故勇者は今もここに向かっているんだろう?」「向かっているんだろう・・・じゃないわよ!?」唐突にあがる、野獣の咆哮。「あ、姫様居たんですか?」「居るわよ!?私の城だもの!」尤もです。「そうですぞ、女の敵殿!野獣は決して自分の縄張りからは居なくならないものです!」「いかにも!姫様は見回りを毎日欠かさないほど、縄張りにこだわっておいでです!」「左様!縄張りが無ければ狩りが出来ませんからな!」その言葉の通り、野獣姫はその場で狩りをした。「がるるるるるるる・・・・・」「うん、いつものお約束はさておいて、ですね」野獣姫の暴走も家臣達の末路も気にせずに、話を続ける拓也。「念のために確認しますが、勇者がここに向かっているのは間違いないんですね?」「はい、好色一代男殿。土煙をあげて爆走する人影を見たという目撃情報が続出しております」「・・・相変わらず回復が無駄に早いですね。でも、土煙を上げて爆走する人影か・・・」「そんな物を起こせるのはこの世界広しといえど、勇者と姫様くらいのものです」「起こせるか、そんなものー!?」いえ、起こせそうです、貴方なら。「そんな訳だから、貴方がなんとかしなさい!」そう言い切る野獣姫。「・・・ふむ」勇者の目的がどうあれ、これでは依頼を果たしたとは言えなかった。「・・・どうやら面倒な事になりそうだな」               <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月3日 6時31分

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「魔王のルーチンワーク」第十六話

「魔王のルーチンワーク」第十六話「ただいまー」両親が“出稼ぎ”に出かけているので、ずっと一人暮らしが続いていた拓也。だが、今日は久方ぶりにこの挨拶を口にする事が出来た。「きしゃーーーーーーーーーーー!!」「・・・うん、ただいま」今の叫び声は、威嚇じゃなくておかえりなさいって言っているのだと拓也は好意的に解釈する事にした。「お、お、お帰りなさいませ、だ、旦那様!」ギクシャクと音を立てそうなほどに緊張しながら、カリンは玄関先で三つ指をついて拓也を出迎える。「ご、ご、ご飯と、お、お、お風呂は、わ、わ、私になさいますか!?」言っていることがちょっぴり意味不明。「ただいま、カリン。ご飯もお風呂もまだ早いから良いよ」苦笑しながらそう言う拓也。ちなみに残り一つについては、深く言及しないで置くのが吉だと拓也は思った。「僕が居ない間、何か困ったことは無かった?」家にあがりながら拓也はそう尋ねる。「は、はい!大丈夫でした!」力をこめてそう言うカリン・・・逆にその力の入れ具合が、不安を呼んでいるが。「旦那様がお留守の間は、妻である私がちゃんとこの家を守ります!」「・・・うん、無理はしない程度にね」何となく、誤解は解けそうにもないな、と遅まきながら気がつき始めた拓也。「まあ、何とかなるかな・・・」あまり深刻に考え過ぎないのは、魔王としての商売柄だった。・・・深刻に考え過ぎていては相手しきれない依頼人ばかりだから。例えば、何処かの野獣姫と愉快すぎる家臣達とか。そんな事を考えながら自室に向かう拓也。そしてその後を、いそいそとついてくるカリン。自室の前についたところで、拓也はカリンに言った。「・・・着替えは、自分一人で出来るから」「えーーーー!?」手伝う気でしたか。「きしゃーーーーー!?」・・・貴方もですか。「それよりもお茶をお願いしても良いかな?」「は、はい、お任せください!」「きしゃーーーーーー!」元気良く返事する二人。 パタパタパタ。 「転ばないようにね」走って居間に向かうカリン達に、拓也はそう声を掛けた。自室に入って一息つく拓也。この家に来てから、カリン達はちょっと暴走ぎみの様子である。「・・・でもまあ、楽しそうだから良いか」つくづく深刻には考えない拓也であった。 キィーーーーン そんな事を考えていると、空気を震わせない不思議な音が響いた。「・・・召喚?」それは何者かが魔王を召喚しようとしている証だった。拓也は、魔王の感知能力でその発信先を探ってみる。「あれ?これって・・・」発信先は、カリン達が元いた世界からだった。「・・・なんだか嫌な予感がするな」                         <つづく>...

作者:いぬとも家宗家

更新日:2008年3月2日 6時59分

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「魔王のルーチンワーク」第三十回

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十九回

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「魔王のルーチンワーク」第二十八話

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「魔王のルーチンワーク」第二十七話

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十六話

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十五話

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「魔王のルーチン・ワーク」第24話

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「魔王のルーチンワーク」第二十三話

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「魔王のルーチンワーク」第二十二話

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「魔王のルーチンワーク」第二十一話

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「魔王のルーチン・ワーク」第二十話

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「魔王のルーチン・ワーク」第十九話

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「魔王のルーチン・ワーク」第十八話

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「魔王のルーチンワーク」第十七話

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「魔王のルーチンワーク」第十六話

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